非結核性抗酸菌症(肺アブセッサス症)との闘い

~患者の立場からのNote〜

肺アブセッサス症とは

  文章による解説

非結核性抗酸菌症とは?で提示した2つのサイトの中で、肺アズセッサス症について解説しているのは以下です。

複十字病院では、「肺非結核性抗酸菌症の治療で入院される方へ」のところ。

当院では肺非結核性抗酸菌症で治療が必要な患者のうち

肺マック症で気管支拡張や空洞病変など病変の程度や、症状の強い方
肺アブセッサス症の方
薬剤アレルギーのある方の減感作療法を含む再治療を行う方
今後手術の検討が必要な方の点滴を含めた治療強化療法
に対し病状や症状に応じて2~4週間の入院加療をおすすめしております。

同じ非結核性抗酸菌症でも、肺アブセッサス症は原則入院治療となっており、肺マック症より難治性が高いのが感じられますね。

薬剤に関しては、

「有効な内服薬が少ないため、数種類の内服薬に加えて、アミカシン、イミペネム/シラスタチンなどの点滴治療を行います。
最近、遺伝子解析などにより、より細かくⅰ)アブセッサス・マシリエンゼ、ⅱ)アブセッサス・アブセッサス、ⅲ)アブセッサス・ボレッティの 3 種類に分類できるようになってきています。ⅰ)アブセッサス・マシリエンゼでは通常クラリスロマイシンが有効であるのに対して、ⅱ)アブセッサス・アブセッサス、ⅲ)アブセッサス・ボレッティではクラリスロマイシンが効きにくいことが多いため、退院後も点滴抗菌薬を継続することがあります。

と書いてあります。

ちなみに私のアブセッサス菌は、抗生剤が効くⅰ)アブセッサス・マシリエンゼです。

慶應義塾大学 医療・健康情報サイトでは、肺アブセッサス症の治療という箇所で処方される薬の名前があげられています。

肺アブセッサス症は、肺MAC症と比較して治療が効きにくいため、初めに点滴のお薬を含む複数の薬で治療を行います。まずは入院して点滴の薬を2種類(アミカシン、イミぺネム/シラスタチン)、内服薬を2種類(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、クロファジミン、シタフロキサシン、リネゾリドの中から患者に合わせて選択します)を使った治療を1か月程度行います。退院後も外来で週3回の点滴と内服薬2~3種類を続けます。

ちなみに私が使用した薬剤は、点滴2種類(アミカシン、イミぺネム)、内服薬2種類(アジスロマイシン、シタフロキサシン)です。病院の外来医師Aはクロファジミンを提案しましたが、①副作用としてほぼ必ず色素沈着が現れること、②まだ治験中であること(2023年9月現在)という理由で気が進まなかったため、上記の薬剤になりました。

2023年に成人肺非結核性抗酸菌症化学療法が改訂されました。医師へのガイドラインなので、患者には難解ですが、以下が2023年に改訂された非結核性抗酸菌症への化学療法の基本方針です。

成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解 ― 2023年改訂 ―
日本結核・非結核性抗酸菌症学会 非結核性抗酸菌症対策委員会 日本呼吸器学会 感染症・結核学術部会

https://www.kekkaku.gr.jp/...

  動画による解説

私が視聴した動画のなかでは、この医師の肺アブセッサス症に関する説明が最もわかりやすかったです。

NTM-JRCオンライン市民公開講座 今急増する呼吸器感染症 ~肺NTM症ってどんな病気?~

沖縄県立中部病院 呼吸器内科 長野宏昭医師(1:14:35~1:37:22)

  • 韓国、台湾、沖縄など東シナ回周辺では肺アブセッサス症の割合が高い。アメリカの調査でも暖かい州、海に近い州は肺アブセッサス症の割合が高い傾向がある。~沖縄では約30%(日本全体では、調査にもよるが2~5%以内)
  • 3つの亜種に分類され、薬剤感受性が異なるが、マックと比べると完治が困難なことが多い。
  • どのようなグループで進行していくのか? BMI<18.5kg/m2では治療成功率が低かった。体重減少は症状の進行のリスクとなる。
  • 治療せずうまく付き合っていく方法はないのか? 薬剤による完治が難しいため、予防・進行抑制も重要である。
  • 生活環境ではどこで注意する? 湿潤な環境(風呂場、水回り、人工呼吸器)は清潔に保つ。

特に印象に残ったのは、沖縄在住、非結核性抗酸菌症の46歳女性の話。家の外にある風呂場で毎日1時間、犬を洗うのを習慣にしていたが、犬が亡くなり、その風呂場に居る時間が減ったら非結核性抗酸菌症が回復したそうです。非結核性抗酸菌症患者が複数名出た施設も、水回りがカビだらけだったという報告もあったので、生活環境を清潔にすることが不可欠ですね。
非結核性抗酸菌症の患者は、風呂掃除を家族にやってもらうようにとアドバイスする医師がいますが、私は一人暮らしですし、単身所帯も多くなる現在、自分でやらなければならない人は多く居るはずです。

私は年に2回ほど、スリランカ等のアジア圏にあるヨガ、アーユルヴェーダリゾートに出かけています。亜熱帯の高温多湿のところに行く習慣があるので、肺アブセッサス症に罹患したのかと思われるかもしれませんが、私がこういったところに出かけるようになったのは、既に発症してからであり(感染が最初にわかったのが2014年3月)、ガーデニングなども一切しないので、何が原因なのかよくわかりません。実際、感染後に肺画像等に病巣が現れるまでにもかなりの年月がかかるという説もあるようです。
BMIについては、私は19台前半なので、これ以上痩せないようにしなければなりません。

家の外にある風呂場(NTM-JRCオンライン市民公開講座 今急増する呼吸器感染症 ~肺NTM症ってどんな病気?~ 第2回より転載と)
家の外にある風呂場で犬を洗う46歳女性(NTM-JRCオンライン市民公開講座 今急増する呼吸器感染症 ~肺NTM症ってどんな病気?~ 第2回より転載)