転院後の通院1(2024.6.8~2025.4.4)
自宅から徒歩5分の病院と比べ、距離的にそう遠くはないのだが、とにかく交通が不便。東京屈指の高級住宅地にあるため、住民は自家用車で動いているのでしょう。公共交通機関と徒歩で行くには時間がかかりすぎます。 でも、こじんまりとした暖かい雰囲気の病院。
2024.6.8 私立の病院Z 初受診
国立系病院で撮影したCT画像(2024 5 16)を見て、P医師の見解は国立系病院のO医師の見解とは大きく異なっていました。
P医師の見解をまとめると以下のようになります。
- 菌種がアブセッサスマシリエンゼなのでクロフィジミンを使用する必要なし。
- 私のような肺中葉がやられている患者には再発が多い。3〜5年で40〜50%に再発が見られ、別の菌種の場合もある。
- ガイドラインでは排菌されなくなってから1年間ということになっているが、より長く抗生剤を投与した患者のほうが再発率が低い。
- 2019年8月の時点では入院は勧めない。2019.8.8 肺CT検査を指す http://ntm-abscessus.org/04.html
O医師 | P医師 | |
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1 | 肺アブセッサス菌と徹底抗戦するためには、一定期間クロフィジミンの追加投与を考える。(クラフィジミンとはほぼ必ず色素沈着が起こる私が忌み嫌う薬剤だ。) | 菌種がアブセッサスマシリエンゼなのでクロフィジミンを使用する必要なし。 |
2 | 私のような状況で、再発した患者を診たことがない。 | 私のような肺中葉がやられている患者には再発が多い。3〜5年で40〜50%に再発が見られ、別の菌種の場合もある。 |
3 | 排菌されなくなったから1年間で抗菌剤の投与はストップ(私の場合、最初にマイナスになったのは2023 12 26なので、2024年末ということか。) | ガイドラインでは排菌されなくなってから1年間ということになっているが、より長く抗生剤を投与した患者のほうが再発率が低い。 |
4 | 2019年8月の時点ですでに入院加療を勧める。2019.8.8 肺CT検査を指す | 2019年8月の時点では入院は勧めない。2019.8.8 肺CT検査を指す |
O医師はベテラン医師ですが、結核の専門医であり、非結核性抗酸菌症の専門医ではありません。ただ、大病院で多くの臨床例を見ているだろうし、最近では、非結核性抗酸菌症の急増によって、結核と非結核性抗酸菌症を分けずに学会が開かれています。
「呼吸器内科も診療科目に入れています」という一般的なクリニックの医師などよりはずっと多くの臨床経験があるはずです。
私は、もちろんP医師の意見に従うことにしました。
なぜなら、P医師が非結核性抗酸菌症の専門医であること、最も恐れていた色素沈着が起こるクラフィジミンを避けることができたということ、将来に向けて楽観的ではないほうが自分にはメリットが大きいと思ったからでした。(しかし、この「楽観的ではない」ということが後に私を苦しめることになることは、この時点では予見できませんでした。)
実際、成人肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解 — 2023年改訂 —では次のように記述つれています。
・治療期間:2020-国際ガイドラインでは培養陰性化が 達成されてから最低1年間と規定されており、本見解も同様の立場をとる。しかし、本方針に従って治療期間を確保してから治療を終了し経過観察すると、5年で約40%が再燃および再感染することが報告されている20) 21) 。わが国から、排菌陰性化後の治療期間として15カ月から18カ月を確保すると治療終了後の再排菌率が低下する,との報告が複数ある22) 23) 。また,韓国から有空洞例や喀痰抗酸菌塗抹陽性の場合には18カ月以上の治療期間が予後改善に関連するとの報告もあり24) これらを参考とする。
20) Lee BY, Kim S, Hong Y, et al.: Risk factors for recurrence after successful treatment of Mycobacterium avium complex lung disease. Antimicrob Agents Chemother. 2015 ; 59 : 2971-2977.
21) Koh WJ, Moon SM, Kim S-Y, et al.: Outcomes of Mycobacterium avium complex lung disease clinical phenotype. Eur Respir J. 2017 ; 50 : 1602503.
22) Furuuchi K, Morimoto K, Kurashima A, et al.: Treatment duration and disease recurrence following the successful treatment of patients with Mycobacterium avium complex lung disease. Chest. 2020 ; 157 : 1442-1445.
23) Kadota J, Kurashima A, Suzuki K: The clinical efficacy of a clarithromycin-based regimen for Mycobacterium avium complex disease : a nationwide post-marketing study. J Infect Chemother. 2017 ; 23 : 293-300.
24) Kim J-Y, Choi Y, Park J, et al.: Impact of treatment on long-trem survival of patients with Mycobacterium avium complex pulmonary disease. Clin Infect Dis. 2023 ; ciad108 doi.org/10.1093/cid/ciad108
初受診のこの日、半年間行ってきた点滴をストップした分、これまでのアジスロマイシン250mg(1日)+シタフロキサシン100mg(1日)を、アジスロマイシン250mg(1日)+シタフロキサシンを倍量の200mg(1日)に増量。
朝 | ![]() |
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朝 | ![]() |
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夕 | ![]() |
ジスロマック=アジスロマイシン
グレースビット=シタフロキサシン
2024.7.12
副作用が出ていないかをチェックするために診察を受ける。内服薬の副作用は出ていませんでした。
2024.9.13
2024.12.14
2025.2.28
その後も、血液検査、喀痰検査、肺X線撮影をして、内服薬をもらうという何も変わらぬ日々が続きました。
ショックを受けたのは、1月の下旬。風邪をひいて近所の耳鼻咽喉科を尋ねた時のこと。
その医師は、私が非結核抗酸菌症に罹患しているを知っていて(耳鼻咽喉科の医師でもMac症だと思っていますが)、「シタフロキサシンを毎日4錠飲んでいます」と話したところ、「そんな強い薬を…」と絶句したのです。
「それがこの病気の標準治療です」と言うと、それ以上はコメントしませんでしたが、非結核抗酸菌症の治療のために抗生剤を服用している患者さん、随分強い薬を連日服用していることをわかっているでしょうか。
2025.4.4 闘いはこれからも続くことになった
2024.5.16(国立系病院)以来の約1年ぶりの肺CT検査。
これについてはまた詳述します。
続く。